新聞の粗雑な報道

シンドラー事件以降、新聞各紙をエレベーター異常のネタが舞っている。例えば、これ。もはやシンドラー社は関係ないらしい。

[エレベーター]突然停止、12人閉じ込め 神戸の雑居ビル
 13日午後10時45分ごろ、神戸市中央区の飲食店などが入った9階建てビルで、降下中のエレベーターが2階付近で突然停止し、12人(男9人、女3人)が閉じ込められたと119番通報があった。同市消防局の救助隊員らが同11時過ぎ、全員を救助した。40分間閉じこめられたといい、女性1人が病院に運ばれた。

エレベーターの閉じ込め故障が都内で年間何件位発生しているのか調べる気も無い様だ。もっとも各メンテナンス会社は教えてはくれないだろうが。


エレベーターというのは自動運転が基本である関係上、イロイロな部分でトレードオフが行われている。その結果、殆どのエレベーターは定期的な保守を行わなければ正常に運転できない機械となってしまっている。
例えば一部の部品は機会調整*1無しでも一定の乗り心地を維持するために耐久性の低い部品を使っていたりする。要するに動作に余裕を持たせているのだ。だからその部品は一定の期間毎に交換しなければならないワケだ。
例えば旧型のエレベーターの停止位置は、放っておけばどんどんずれていく。そういう風に造ってある。だからメンテナンス会社の人間が定期的に再調整してやらなければならない。で、そのノウハウは「メンテナンス会社の資産」というワケだ。


つまり、エレベーターという機械は常に保守・点検・調整をし続けなければならない機械であり、だからこそシンドラー社のあの声明になるのだ。たとえメーカーといえども自分の保守していないエレベーターの品質を保証するコトはできないという事だ。*2


だからエレベーターの保守はたとえボリまくりでもメーカー直営が安心なのだ。国内大手の製品なら少なくとも市場投入から10年位は直営が安心だぞ、イロイロな意味で。

*1:自動車のアクセルの開け閉めなどの様に状況に応じて加減するコト

*2:しかもSECは他社製品にオリジナル部品を付加するのが好きな会社だしなぁ