代理出産について

一応書いておいたほうが良いかもしれないので、書いておこう。


まず、今回の様な「子の実親の認定」という作業は基本的に「代理出産の可否」とは無関係だ。前者は「子供」に係る問題であり、後者は「親」に係る問題だ*1
従って代理出産が違法であるならば適切に親を罰すれば良いのであって、子供の身分の認定をその様な「子供個人に起因する以外の理由」でどうこうしてはイケナイだろう。


次に、ホントに「分娩をもって実母と認める」と規定されてるのか・・・という問題。少なくとも民法は実母を自明のモノとして扱っているので具体的に「実母」の定義をしていない。あるのは「父親」の認定に関する規定だけだ。
で、「血縁関係に基礎を置く」という原則に立つならば、一般に分娩は血縁関係を推定するに足る根拠となりうるので「分娩をもって実母と認める」のは特に不都合ではない。しかし、今回の様に「より蓋然性(w)の高い根拠」がある場合はソレを実母の認定の根拠とすべきではないだろうか。
少なくとも「血縁関係上の母」が他に存在するのが明白なのに「分娩」のみをもって実母の認定をしてしまうのは他の民法の条文との整合性が取れないだろう。


「一意に決まる親子関係」を求めるなら「科学的な血縁関係」で一意に決めちゃったほうが良いだろ・・・と思う。ってかそうしないと「親不明」の子供がゾロゾロ出るぞ*2。いくら「ダメ」って言ったってやる奴らはやるんだ。でもソレは生まれてくる子の責任じゃぁないダロ・・・と主張しておく。

*1:だから今回の判決の「社会に受け入れられていない」論には少々疑義を感じる

*2:事後的な検証が(多分)不可能だから