うはは、こりゃ面白い

学研が出している「大人の科学マガジン」ってのは最近流行のふろく付ムックなんだけど、なんせあの「学研」だ。ナントカコレクションの類とはわけが違う。
このフロクは初期のモノを除き、基本的に組み立てが必要なモノが付いている。はっきり言って中国のおねぇちゃん達に組み立ててもらった方がずっと高品質低価格のモノが出来上がる筈だが、この「低品質のモノだけど自分で組んだモノ」というのがミソだ。じっくりあわてずこねくり回しながら組み立てていくと、その器具の仕組み・動作原理等が良く判る様にできている。実用性より解明性を優先するって事だ。


さて、最新号(10号)のフロクは「スターリングエンジン」だ。出力の大きさは当然入力エネルギーに依存するものの、ごく僅かな入力でも効率よく出力できる事で有名なエンジン。気体版の「極楽鳥」だ。
で、組み立てて見るのだが、見事に動かない。流石は動作部分の抵抗によるエネルギー損失を僅かに上回るだけのエネルギーしか出さない微妙な機械だ。念の為言うが、私だけがダメなわけじゃないぞ。ほら、

手のひらの熱でも駆動できるらしいです。早速、組み立てました。ました。ました。動きませんっ oTL

こんな人も居る。正直に「動かない」と告白していない人はもっと多いはずだ(笑)。
で、一服してから問題点を検討する。これの良い所は上でも書いた通り動作原理を理解しながら組み立てられる事だ。
説明書と現物を見比べながら色々考えて見ると、まずこの機械は比較的低温で暖められた空気の膨張がダイヤフラムを押し上げると言う動作をしなければならない。その為には小さい圧力でも動く様にシャフトから先の摩擦抵抗を極力小さくする事、そして僅かな空気の膨張でも反応する様にシリンダーの気密を極力高くする事が必要だ・・・と思う。
で、結局一番怪しいのはダイヤフラム取り付け部の気密だろうなぁ・・・という結論に達する。何故かと言うとディスプレーサーの自重でクランクが回る程度の抵抗で動作しなくなるとは考え難いし、シリンダーは太目のOリングでパッキンされているのでここから空気が洩れるとも考え難い。
それに対してダイヤフラムはごく薄いゴムの薄膜なので締め付けの微妙な圧力差で波打ったりして気密が破られる可能性がある。サイズの違う2本のOリングで挟んでから締め付ければもちっと気密が保たれるのになぁ・・・などと考えながら説明書に従い木工用ボンドで気密を上げてやる。うすーくアルミ版とダイヤフラムの境界にボンドを染み込ませてやって、再組み立て。無事動作する様になった。


ところで、説明書に「ディスプレーサーの軸に管楽器用のオイルを射す」と記載されているが、「管楽器用のオイル」と言っても色々あるぞ。写真のはYAMAHAのバルブオイルだけど、バルブオイルだけ考えたって粘度の違うものが何種類も出てる。「どの様な特性のオイルが良いのか」書かないと、そこで失敗する人が出るような気がする。