請求権否認、微妙なコトになったぞ・・・

判決の全文を読んでいないので裁判官達がどの様な事実認定をしたのかわからないのだが・・・

日中共同声明について「戦争賠償や請求権の処理で、サ条約の枠組みと異なる取り決めが行われたと解することはできず、あえて個人の請求権処理を未定のままにせざるを得なかった事情はうかがわれない

コレは変だなぁ。サ条約の25条によって「連合国」から除外されている中国に対しわざわざ21条の規定を付加してるのに、共同声明では自動的に14条bが適用されるってのは・・・。それにわざわざ同様の文章を使った「財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定」の立場は?


まぁそれはおいといて、問題なのは「相手当事国」が異論を出している「条約解釈」について「日本の最高裁」が判断を下して解釈を確定できる・・・って形式。あとで絶対モメるぞ。リクツから言うと二国間条約*1である日中共同声明の解釈については中国側の合意が無いと確定できないからだ。


・・・最高裁解釈に対して中国の合意があるという根拠は確保されているんだろうか?Apemanさん情報だと傍証が無いわけでは無さそうだけど。




追記
判決文見たけど、ううう・・・微妙だ。完全に日本の立場からのみの解釈になっている・・・が、ソレ相応の根拠は提示している。あとは中国側からの抗議に対する対抗力があるかどうかだなぁ。

サンフランシスコ平和条約の枠組みを外れて,請求権の処理を未定のままにして戦争賠償のみを決着させ,あるいは請求権放棄の対象から個人の請求権を除外した場合,平和条約の目的達成の妨げとなるおそれがあることが明らかであるが,日中共同声明の発出に当たり,あえてそのような処理をせざるを得なかったような事情は何らうかがわれず

って言っても「将来を睨んだ(中国側の)外交戦略」って考え方もあるし、中華民国との条約は完全に反故にされているってのは認めているから「文言上個人請求権については何も決めていない」ってのは客観的事実なんだよなぁ。

*1:厳密には「二国間条約で履行が確認された声明」だけど