歴史修正主義批判の態を為していない

私はトンデモ科学や怪しげな史書が大好きなのだが、中にはイラッと来る様なダメダメな物も当然ある。典型例が「主張の内容に踏み込む前に既に首を傾げてしまう主張」だ。例えば、疑似科学批判で人気のあるらしいこの人。

 擬似科学批判と比べると歴史修正主義批判者のほうが圧倒的に自分の政治的立場を名言し、その左寄り的イデオロギーを丸出しにしていて、右寄り批判と同じ手法で「歴史修正主義」的テキストを叩いているところが、あんまり好感度が持たれない(どっちもどっち、的にしか支持されない)原因なんじゃないかと思います。

上記テキストの契機となったと思われる論争(http://norevisionism.g.hatena.ne.jp/bbs/2)で出てきた「兵事主任」という用語の扱いがとても不思議。


要は普通に研究者が使っている「兵事主任」という用語はid:lovelovedog氏の調べた限りでは使用例が極端に限定されている・・・って話なのだが、常識的に考えれば専門の研究者の方が彼よりも広く深く資料を漁っているハズなので情報にヒットする確率は高い、つまり「研究者達はlovelovedog氏の未見の資料を元に判断している」って予想するのが普通だ。だから「どんな資料があったのか」と興味持つなら判るが、彼は当の研究者に当たってみずに「他に事例はない」って主張をしてしまっている。
例えばこれが有限要素で要素総数が既知の場合「ここまで調べりゃ十分だろ」って見切りもつけられるだろうが、残念ながら「歴史」ってやつは要素総数が未知なので「見つからない」は「存在しない」と同義にはならない。あくまでも「判っている限り」という範囲限定の言い訳とセットで語られるものだ。
で、lovelovedog氏が自身の調査を元に「個人に属する用語なんでは?」と主張してしまったために、ソノ背後に「オレはそんじょそこらの研究者より広く深く調査をしてるんだぜ」という暗黙の主張が成立してしまったのだ。


まぁ、こういうのを見ると「えー、大丈夫なんかぁ?」と首を傾げつつコトの成り行きを見守る訳だが、案の定マイナーの皆さんがデータを持ち寄ってくるわ、オチ担当の研究者が身も蓋もない解説をしてくれるわで・・・。


ぶっちゃけ、今回の騒動は「歴史修正主義批判」にすらなってない、単なる「志村、後ろ!!」ネタだと私は思うのだ。だからイデオロギーを丸出しにしたくても、無理。実際、出る前に決着ついちゃったじゃない。