国籍の行方

そこらに転がってるDNA鑑定義務化ネタがあまりにも雑なので、色々考えてみる。

代理出産した外国人女性の夫が日本人のケース

認知とは関係ないけど、この場合生まれた子供は日本国籍を得る。DNA的には日本と無関係で、その上日本人と無関係な暮らしをしていても日本の法律的には「日本国民」。もっとも代理出産依頼者の方から否認訴訟すれば一応日本国籍じゃなくなるけど。
ただ、このケースはDNA鑑定しても意味の無いケース。

外国人の子を身篭った外国人女性と日本人男性が偽装結婚したケース

生まれてくる子は日本国民。DNA鑑定で違っていても法律上は日本国民。偽装結婚するぐらいだから本当の父親から否認訴訟される心配もなし。

外国人が代理出産をした日本人夫妻の子供

まあつまりは「総統御子息問題」なんだけど、総統が否認訴訟+認知(ここではDNA鑑定が補強証拠として採用される)すればとりあえず改正法で日本国籍が取れる。問題は否認訴訟をしようにも代理夫妻は居住地の法律によってこの子達の親ではないことになっているので「誰を相手に何を否認するのか」ってコトだけど。
しかし、改正法が潰れたらDNA上は母親も父親も日本人なのに彼等は日本国籍を取れない。

適度に育った外国人を日本男性が(偽)仮装認知するケース

ぶっちゃけ国籍法改正以前に認知の時点で双方の渡航履歴って壁にぶつかるので証明しきれないときはDNA鑑定を補強証拠として出すしかない。また、DNA鑑定がいらないほどクリアな経歴だったら認知された時点で「日本人男性の被扶養者」になってしまうから国籍なんて要らない。ってかむしろ養子の方が使い勝手がいい。結局DNA鑑定を義務化する意味なし。


まぁ結局は日本の判例上親子関係が「外形的血統主義」でありDNA上の繋がりがそれほどクリティカルな根拠ではないってコトが問題。生殖技術とDNA鑑定技術が進化した為に「外形的血統」と「生物学的血統」が異なるケースが存在するのにもかかわらずそれが存在しないかの様に扱ってると。今後は「生物学的にも外形的にも父親が存在しない子」が出現する可能性すらあるのだから、そんな案件が出ても大丈夫な様に各法律の網を広げとかんといけないよなぁ。