猫の間引き

例によってアリバイエントリ。


坂東眞砂子氏のコラムが大評判だ。コラムの全文は「ハマる生活」さんが転載しているのでそれを参照。

で、このネタに釣られた記事やラジオ番組などに接して思った事。

猫は高度に愛玩動物化しているとの説について

どうもヒトと猫の共生の歴史と飼育環境以外では生存率が低くなる事を根拠としている様だが、それは違うと思う。
まず、猫が一生の間に産む仔の数を考えれば彼等がそもそも「死に易い」事を前提とした繁殖戦略を取っているのは一目瞭然だ。一般に動物が一定の閉鎖空間で十分に行渡っている状態では一つがいが生涯に残すべき子孫の数は「2」だ。これ以上だと過繁殖で過密化し、これ以下だと衰亡してしまう。だから生存率の高い動物は出産数が少ないのだ。
そんなワケで猫と言う動物は生存率が低い状態が常態であり、飼育下の高率な生存の方が生態に反した状態なのだ。従ってこれを根拠に「ペットとしてしか生きられない」というのは穏便な言い方をすれば「誤り」だ。
どちらかと言うと猫より犬の方がそのあたりの問題は深刻で、本来なら自然淘汰によって消滅しなければならない奇形をわざわざ固定して新品種としている為にニンゲン様の「介護」が無いと生きいられない品種もあると聞く。

親の「生」を尊重するのに仔の「生」尊重しないのはダブスタだ、の説

これは議論がおかしい。双方を同時に尊重する事ができないから彼女は「選択」したのであって、親の「生」が優先して尊重されるべきとは言っていない。きちんと文中で「どちらの立場も取りうる」と明示しいている。

他の手段があるのに間引きするのはおかしい、の説

少なくとも坂東氏のコラムの状況設定では「他の手段」なんて、無い。不思議な事に坂東氏の提示した「避妊を忌避する理由」そのものについてきちんと反論しているヒト*1は少ない。皆主観的な比較に基づく非難をしているだけだ。


正直言ってこのネタ、個人的には猫に選択権が全く無いのにどうにかしなければならないという現状では猫の気持ちを慮ってもあまり意味は無いと思う。そして間引きにも避妊にも忌避すべき明白な理由があり、2chの一部Vipperの様に積極的に猫の居場所を開発する人々のZOCに入っていないなら飼い主の納得の行く方を選択せざるを得ないのではないか。我々は坂東氏の飼い猫の生死に責任を持てないのだから。

*1:「獣の雌にとっての「生」とは、盛りのついた時にセックスして、子供を産むことではないか」という命題をうまく否定しているヒト。「それだけではない」は反論にならない。「そうではない」としなければいけない